造形教育ならではの「学び」を
島根県造形教育研究会 会長 松本真理
全島根小・中図画作品展は、今年も1月の松江会場での開催、2月の浜田会場や益田会場での開催に続きます。毎年、多くの皆様の来場を得ておりますことに感謝しております。
さて、本作品展は、日頃の授業での取組から生まれた作品が展示されています。これらは、子どもたちが、魅力的な題材に出会い、感性や想像力を働かせ、自分ならではの表し方を工夫して取り組んだ造形活動の過程から生まれた作品です。見ていると、子どもたちが制作する表情が思い浮かぶようです。そして、完成までにも表現と鑑賞は繰り返されたことでしょう。作品の良さを見つけ合い、気づきを生かしてさらに描く・・・。他者から認められる喜びは自信となり、次の表現につながったと思います。
それと共に、「題材やテーマ、表現方法等と子どもたちをどのように出会わせようか」「知識や技能がその子ならではの表現につながるためにはどんな授業展開がいいだろう」「つくる楽しさが日常生活につながるといいな」等と授業づくりを工夫される指導者の姿も思い浮かびます。作品展を通して、展示作品の向こうに、島根の児童生徒の「学び」を感じることができます。
この「学び」については、学習指導要領改訂に向けて、平成28年12月21日に示された中央教育審議会答申で次のように述べられています。
各教科等の特質に応じた物事を捉える視点や考え方が「見方・考え方」であり、(中略)大人になって生活していくに当たっても重要な働きをするものとなる。
「見方・考え方」は現行の学習指導要領において、小学校図画工作科・中学校美術科で示されている表現及び鑑賞に共有して働く資質・能力である〔共通事項〕とも深い関わりがある。これらの教科の「見方・考え方」の特徴は、知性と感性の両方を働かせて対象や事象をとらえる事である。知性だけでは捉えられないことを、身体を通して知性と感性を融合させながらとらえていくことが、他教科等以上に芸術系教科・科目が担っている学びである。また、個別性の重視による多様性の包容、多様な価値を認める柔軟な発想と他者との協働、自己表現と共に自己を形成していくこと、自分の感情のメタ認知なども含まれており、そこにも芸術系教科・科目を学ぶ意義や必要性がある。※1
これを読んで、自己形成に深く関わる教科の役割を自覚し、子どもたちが未来を切り拓いていくために必要な資質・能力を身に付けられるよう造形教育の一層の充実を図りたいと感じたところです。
今後も、各地域での実践を交流し、我々の学びを深めていきたいと思います。
※1 幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善及び必要な方策等について(答申) 中央教育審議会
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